腎盂・尿管がんとは
50~70歳代に好発し、男女比はおよそ2:1と男性に多いがんです。膀胱がんと同様、尿路上皮がんというタイプのがんが主流です。そのため、膀胱がんに準じた治療を行うことが多く、化学療法も同様のGC療法を使用します。
症状は肉眼的血尿、そして特に尿管がんの場合には腫瘍による尿管閉塞のため、水腎症による症状(発熱や背部痛など)も出現します。
本当に小さい初期のものの診断は難しいです。エコー、造影CT、MRI、尿細胞診を総合的に判断し診断します。
腎盂尿管腫瘍が疑われた場合、入院の上逆行性尿路造影、尿管鏡検査、尿管鏡下腫瘍生検を行い、診断をより確実なものにします。
治療は転移がなければ腎尿管全摘出術(腹腔鏡が主流)、転移があれば化学療法となります。
治療後30〜50%程度で、膀胱がんが発生すると言われており、術後は定期的なCT検査に加え、膀胱鏡検査が肝要です。
腎盂・尿管がんの治療法
①手術療法
腎盂・尿管がんは前述のように組織系が尿路上皮がんです。尿路上皮は腎盂、尿管、膀胱、尿道を覆う組織で、特徴として時間的・空間的多発性という特徴を有しています。これは尿路上皮がんが時期をずらして場所を変えて、同じ尿路上皮のどこかに再発しやすいというものです。例えば、腎盂・尿管がん治療後に尿路上皮がんが膀胱内に再発する割合は我々の関連施設を含めたデータでは約38%でした。したがって、腎盂・尿管がんの手術法は、腎臓と尿管、膀胱の一部を一塊にして摘出する腎尿管全摘除術および膀胱部分切除術が標準術式となります。当院では原則腹腔鏡下手術を行なっております。
腎尿管全摘除術+膀胱部分切除術
腎臓と尿管そして膀胱の一部を切除する手術で、腎盂・尿管がんの標準手術です。
当院では膀胱癌に準じ、腫瘍生検で悪性度の高いがんであった場合、原則的に術前化学療法+腎尿管全摘術を行っています。
手術は原則的に腹腔鏡で行います。しかし、尿管の下部、膀胱への入り口まで十分剥離するため、その部分の処理は開腹して行うことが一般的で、尿管口を切除するには最も確実な方法です。
腎臓の摘出のパート、そして尿管摘出のパートに分かれ、前者は側臥位、後者は仰臥位で行うのが一般的です。
また手術の際、がんの近くにあるリンパ節郭清も積極的に行っています。
当院ではリンパ節郭清がしやすく、手術時間も短くて済む、完全仰臥位腹腔鏡下腎尿管全摘という世界初の方法も積極的に行っております。
②薬物療法
膀胱癌の薬物療法に準じます。次項をご参照ください。
③当院における腎尿管全摘術の年次推移
側臥位で手術を行います。
皮膚に開けた3~4ヶ所の穴からカメラと細長い手術器具を使用して、体外操作で腫瘍とともに副腎を一塊にして摘出する手術方法です。当院では50例以上の腹腔鏡下副腎腫瘍手術症例を経験しております。手術は全身麻酔と硬膜外麻酔を併用して行い、約3時間で終了します。
個々の患者さまにより違いはありますが、一般に手術後は以下のような経過をたどります。